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世界を解き明かすコラム
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  • 経済学部
  • EUはどこへ向かうのか? ~ギリシャとイギリスがEUを離脱する日はくるのか~
  • 中川 辰洋 教授
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  • EUはどこへ向かうのか? ~ギリシャとイギリスがEUを離脱する日はくるのか~
  • 中川 辰洋 教授

ツィプラス政権の1年とはなんだったのか

「デフォルト(債務不履行)となるか、ならないか」で、世界中が注目したギリシャのソブリン(公的債務)危機。2015年8月、ギリシャは金融支援を受けるために提示された緊縮財政の継続、年金制度や労働市場の改革、国公営企業の民営化などの実行を約束し、ヨーロッパ連合(以下EU)から3年間で最大860億ユーロにのぼる金融支援を取り付け、デフォルトおよびギリシャのユーロ圏離脱(GREXIT)は当面回避されました。

 

これまで度重なる財政状況の悪化により、EUなどの国際債権団から過去2度にわたり金融支援を受けたギリシャは、その見返りとして厳しい条件を課せられ、国民に大きな負担を強いるようになっていました。景気は落ち込み、国民の生活レベルが悪化して大きな反発を招くなか、2015年1月に行われた国政選挙では、「反緊縮」を公約に掲げた急進左派政党のシュリザ(急進左派連合)が、250万人にものぼるといわれる生活困窮者らの支持を集め、ギリシャ憲政史上初めて政権の座に就きました。

シュリザの党首でもあるアレクシス・ツィプラス首相は、国民の高い支持を背景に新たな金融支援交渉に臨みましたが、結局は、国際債権団の主張する税制、年金制度、労働市場の改革、国営企業の民営化、財政再建などの経済構造改革の実施を受け容れることになったのです。

 

急進左派政権が誕生してから1年。国内外の投資家たちは政権1周年を祝福するかのように、ギリシャ系企業や銀行の株を売り浴びせたため、アテネ証券取引所は年明け後弱含みに推移し、2016年2月8日には急落商状*1となり、少なくとも1991年以来25年ぶりに最安値を更新しました。その理由としては、同国の大手銀行の経営不振や破綻懸念に加えて、急進左派政権が国際債権団――EU、IMF(国際通貨基金)、ECB(ヨーロッパ中央銀行)との間で合意した第3次金融支援*2の条件となっている税制や年金などの改革が進捗せず、月内に開始される進捗状況の審査が難航するとの悲観論が台頭していることを挙げなくてはなりません。ヨーロッパ・メディア筋によると、ツィプラス首相は現行の金融支援を放棄し、近く国際債権団との間で新たな債務交渉を行うであろうというのです。

 

*1 株式や債券などの相場が急激に下がる商い(取引)状況。
*2 ギリシャは過去にも財政状況が悪化し、緊縮財政、年金制度や労働市場の改革をすることを条件に国際債権団から2010年、2012年に金融支援を受けています。

 

はたしてメディア筋が正しいとすれば、ギリシャの債務問題の処理・解決、経済改革と国民生活の改善などを謳って前年の国政選挙に勝利し、たとえ右派政党との連立とはいえ歴史上初めて政治権力を握った急進左派政権の1年とは一体なんだったのでしょうか。税制や年金制度、労働市場の改革は「社会的影響が大きすぎて手を出せない」というのであれば、急進左派が選挙公約とした他の分野の改革は実行したというのでしょうか。そうであれば、なぜギリシャはいまなお混乱から脱せないのでしょうか。急進左派の政治家の言い分は、一般大衆の不興を買って権力の座から滑り降りたくない、という保身の弁でしかありません。貧しい民衆に顔を向けるそぶりを見せた“左からのポピュリズム”――左翼大衆迎合主義――とともに、ギリシャ国民の遥か昔のご先祖さまのいう“冥府(ヘデス)”を流れる“忘却の川(レテ)”に身を沈めるのにそう時間を要しないかもしれません。

 

問題は、GREXIT(ギリシャのユーロ圏離脱)。ギリシャ人自らその選択をするか、それともEUのパートナーたちが引導を渡すかのどちらかです。ツィプラス首相の政治スタイルは、対話や交渉を重視するよりも、労働階級の闘士を気取ってタフネスを売りとするところにありますが、この先もそうしたスタイルがEUの代表者たちに通用するかどうかは、疑問です。

イギリス ~もうひとつの離脱?~

ギリシャの現状が報じられる一方で、メディア筋はもうひとつの離脱――BREXIT(イギリスのEU離脱)――の当事者であるデイヴィッド・キャメロン英首相を、ツィプラスよりもひどい政治家と非難しています。キャメロンはドイツやフランスなどに対して銃を振りかざして「お前たちがオレたちにEUに残ってもらいたいと思うなら、オレたちのいうとおりEUのルールを変えろ。さもなければ銃をぶっ放すぞ」といわんばかりだというのです。ありていに言えば、ゆすりたかり(ブラックメール)です。

 

ギリシャとイギリス――このふたつの国は、ヨーロッパの北と南の端に位置し文化や習俗が大きく異なりますが、現在、共通の悩みに直面しています。それは、中東や北アフリカなどからヨーロッパになだれ込んだ難民と称される人たちの受け容れ問題です。いわゆる難民がヨーロッパに入る玄関先のひとつがギリシャですが、その行き着く先のひとつが、豊かなドイツと並んで、言葉(英語)の通じやすいことなどからブリテン島(イギリス)となっているのです。「ドイツなどの過酷な債務返済条件のためにギリシャ国民は苦しんでいる」とお涙ちょうだい風を装っているアテネ政府ですが、どっこい、ギリシャの難民への待遇は「人道的ではない」との評判が絶えません。ギリシャが難民問題の“ボトルネック(隘路)”と称されるゆえんがここにあります。この点、反西欧(反EU)、国粋主義、カトリック至上主義(ムスリムなど異教徒排斥)を旨とするハンガリーやポーランドなどの旧共産圏諸国となんら変わるところがありません。

 

かたやイギリスは、ヨーロッパとは距離を置き、今次難民問題では火の粉をかぶることを望みませんでした。けれども、この国の歴代政府が判を捺いた条約やルールを反故にする点では、ギリシャと同様と言わざるを得ません。キャメロン政権がそうした道を選択するならば、ヒトラーを称賛するハンガリー、旧宗主国(ロシア)の元首の専制政治(政治のプーチン化)に倣うことを恥じないポーランドやチェコなどと同類と見られかねません。

 

ハンガリーやポーランドなどの旧共産圏諸国では、極端な国粋主義に傾斜した右翼大衆迎合主義の政府があいついで誕生していますが、これはツィプラス率いる左翼大衆迎合主義の勝利に勢いづいたスペイン、ポルトガルなどの急進左派政党の台頭の反動と考えられます。極右・ファシスト勢力の台頭が、民主主義の成長途上にある旧共産圏諸国に限られた問題であれば、さほど気にする必要がないかもしれません。しかし、それがフランス、ドイツ、オランダといった、西欧の中核を占める諸国に及ぶとなると話は変わってきます。とくにフランスでは、優柔不断で知られる現職のフランソワ・オランド大統領に幻滅し反発する国民の支持を得て極右政党(国民戦線)が急伸しています。そのありようは、ギリシャ国民の多くが既存の政治エリートに背を向け、左派のシュリザ政権が誕生する前夜に酷似している、と言ってもあながち誇張ではないかもしれません。

ギリシャのメンタリティはどこからきたのか

この1年余り、EUはギリシャに振り回された感がありますが、それは債務救済・金融支援の面だけでなく、この国がEUの制度・機構、ひいては難民問題にも直接・間接的に影響を与えたからかもしれません。それらの問題を理解するためには、まず吹けば飛ぶような小国ギリシャが、身の丈にあわない借金の山をどうして築いたのか、また借金であれば返済するという当たり前のルールがこの国ではなぜ通じないのか――といった疑問に答えることからはじめるのが順当です。それはまたギリシャの近現代の歩みを振り返ることにもなります。

 

その前にみなさんにお聞きしておきたいことがあります。みなさんは、古代史ならいざ知らず、近現代史でギリシャという国名を目にしたことがありますか? 大半の方は、 “OXI(オヒ)”(ギリシャ語で「いいえ」の意)と答えるでしょう。このコラムのねらいは、大方の人が中高のテキストではほとんど無視されているギリシャの近現代史を振り返りながら、現代ヨーロッパのありようを理解する材料を提供するところにあります。

2015年7月5日の国民投票で、ギリシャ国民の半数以上はアレクシス・ツィプラスの率いる左派政党の「反緊縮政策」を支持しました。他国から金融支援を受けなくてはやりくりができない状況にもかかわらず、「反緊縮」を選択するギリシャの国民性は、われわれ日本人にはなかなか理解しがたいものがあると思います。果たして、その根底にあるギリシャ人のメンタリティとはどのようなものなのでしょうか。

 

ギリシャは、19世紀前半にトルコ人の支配を逃れて独立を手にするまで、ローマ帝国、東ローマ帝国、そしてオスマン帝国といった異民族・外国勢力によって長らく支配されてきました。ギリシャ人たちは長い異民族・外国人支配のなかで「国に歯向かうことは善」というメンタリティを培ってきました。彼らにすれば、国に反抗し、国の富や財産を盗むことは自分たちのものを取り戻すだけだから「義賊」である。それが転じて、歴代の政府は国有財産を盗んでは自らの支持者に大判振舞することを「義務」と心得てきました。ギリシャが政治学者のいう「泥棒国家(クレプトクラシー)」*3の所以です。

 

*3 朴正煕、フェルディナンド・マルコスやスハルトが支配した時代の韓国、フィリピン、インドネシアも政治学では「泥棒国家」体制に分類されます。

 

1829年、ようやく王政によるギリシャ国家が誕生し、20世紀初頭には共和制が敷かれます。ですが、すぐに王政が復活したり、はたまた独裁政治に取って代わられたりと、その後もなかなか国家体制の安定しない状態がつづきました。しかも第二次世界大戦時にはナチスドイツに支配され、戦後は戦後で英米仏などの連合軍に味方する勢力と旧ソ連(ロシア)に与する勢力との間で内戦が勃発、さらにまた1960年代末には軍事独裁政権になるなど、信頼できる国家体制はいつまでも築かれぬまま、年月が過ぎていきました。こうしたなかで、政治家たちは以前からの「泥棒国家」メンタリティのまま、自分たちにとって利害関係が一致する人びとから支援を集め、政権をとったあかつきには、支援者にお金をばらまくという行為を繰り返していきました。「デモクラシー」の語源となる「ディモクラーティア」という言葉を生んだギリシャ人ですが、皮肉にも自分たち自身の国はなかなかデモクラシーを確立できませんでした。そしてそのツケが表面化し、現在に至っていると言ってよいでしょう。ギリシャへの金融支援はEU各国の税金でまかなわれているので、今やユーロ圏から出て行ってもらいたいと思う国があっても当然です。しかしその一方で、ギリシャ問題は、今後のユーロ圏ひいてはEUをどのように形づくっていくのかという未来像を真剣に考えるきっかけを与えることにもなったのではないか、と私は思います。

EUの未来を占う

フランスの経済・財政相からヨーロッパ委員長に転身し、ヨーロッパ統合を牽引したジャック・ドロールは、2000年1月、仏紙『ル・モンド』とのインタビューのなかでこう言っていました――。EUが「地政学上最優先すべきはウクライナの問題だ。ポーランド、チェコ、ハンガリーなどは二の次」。また、経済問題については、「1999年にユーロ圏が発足しているから、最終目標の政治統合を射程に入れるべきだ。いくつかの加盟国などは、EUを自由貿易圏の形成に矮小化しようと企てている。目先の経済的利害を追い求めるだけでは先に進めない」。ヨーロッパ統合を深化させることなしに、ヨーロッパの平和・安定・繁栄を手にすることはできないであろう。

 

ドロールといえば、「ギリシャを〔EUの前身である〕ECに加入させたのは誤りだった」とギリシャへの不信感を隠そうともしなかった人物です。ギリシャが加入要件を満たしていないというのが主因でしたが、それ以上にギリシャの民主主義に懐疑的でした。

 

しかしドロールの真骨頂は、敬虔なカトリック教徒で人としての徳の高さはいうまでもなく、物を見る目の確かさ、長期的視点から考えるという政治家に要求される資質にあります。2015年1月のロシアによるクリミア半島の併合、ウクライナ侵攻を思い起こせば、彼の物の見方の確かさや先見性には脱帽するほかありません。先に紹介したハンガリー、ポーランドなどの旧共産圏諸国が、難民問題などで「トラブルメーカー」になっていることを思えば、EUの東方への拡大はギリシャ以上に「時期早尚」であったのかもしれません。

 

一方、「目先の経済的利害だけを追い求める」云々のくだりは、イギリスやスウェーデンなどを指していることは明らかです。イギリスは、1960年に自ら音頭を取って設立したEFTA(ヨーロッパ自由貿易連合)を放り出して1974年に当時のEC(ヨーロッパ共同体)に加盟する際、「共同市場の発展に尽力するが、政治統合には協力しない」と言い切っており、「経済的利害だけを追い求める」ことが目的だったことを隠そうともしませんでした。

 

それでも、マーガレット・サッチャー時代のイギリスは消極的ではありますがヨーロッパ統合に貢献しました。ドロールらの提案した「一つの通貨(ユーロ圏創設)」には反対でも、「一つの市場(市場統合)」はイギリスの国益に叶うとみたからです。それに後任首相のジョン・メイジャーは、ユーロ圏の誕生を盛り込んだオランダの古都マーストリヒトでの条約交渉のテーブルをひっくり返すようなことはしませんでした。ユーロスケプティシズム(欧州懐疑主義)の台頭とサッチャー以上の反EU政策は、1960年代のウィルソン政権以来イギリスのEC加入に尽力した左派系の労働党出身のトニー・ブレアー政権のもとで形成されたと言って過言ではありません。

 

年が明けてこのかた、BREXITが、GREXITよりも現実味を帯びるようになったといわれます。もちろんギリシャと違って、イギリスはヨーロッパの大国の一つですから、EUから脱退することは、EUとイギリスの双方にとって好ましからぬ影響を多方面にもたらすと予想されています。だからといって、ピストル片手に自国に有利なようにルールの見直しを強要するキャメロン流に批判があるのは当然です。

 

ドイツやオランダのようにイギリスの言い分をある程度受け容れる諸国においても、イギリス残留のために「どのような代償も厭わない」とは考えてはいません。イギリスを対象とした甘いルールを他の国が要求したら、これに応じないわけにいかなくなるからです。このことは借金の棒引きを要求するギリシャ政府に甘い顔をしないのと理屈は同じです。

 

本年2月、イギリスが国民投票で国民の支持を得やすくするため、難民福祉の削減などEU共通ルールの見直し案のいくつかが認められました。キャメロン英首相は、国民投票でEU残留に向けて誠心誠意努力するとメディアに伝えました。これに力を得たギリシャも新たな金融支援を模索しており、ともに“ゴネ得”をもくろんでいます。ユーロ圏やEUから離脱して喜ぶのは、ギリシャではファシスト党の「黄金の夜明け」やKKE(ギリシャ共産党)、イギリスではUKIP(イギリス独立党)のほか、労働党や保守党の半数ほどのメンバーですが、イギリスの場合に特記すべきは、キャメロン内閣内にも反EU派の閣僚が複数おり、さらに次期保守党党首と目されるロンドン市長のボリス・ジョンソンをはじめ少なからぬ有力者がBREXITを公然と支持していることです。

 

では、EUはどこへ向かおうとしているのでしょうか。EUの最終目標は、経済分野だけでなく政治分野の統合という理念の実現にありますが、イギリス、デンマークそれにアイルランドがECに加入した1974年以降、EU加盟国にはその理念の実現を目指す加盟国と、そうでない加盟国とが併存しています。したがって、そうした理念の実現に向かって進む政治統合の意思のある加盟国はさらに統合を深化させ、そうではない加盟国は最低限現状のルールを順守し、後日、政治統合に加わる意思があれば、その意思を容認する制度をつくることが肝要だ、と考えられてきました。

 

ところが、2月のイギリスと独仏など27の加盟国との間の合意は、そうした考えを飛び越えて、政治・経済・社会のさまざまの分野でのより一層の統合を目指す加盟国と、そうでない加盟国とを明確に仕分けするための政治決着――メディアの言葉を借りると「協議離婚」となりました。前者は、ドイツ、フランスなどのユーロ圏諸国のうち10数ヶ国、後者はイギリスや旧共産圏諸国のほか、スウェーデン、デンマークなどです。

 

より重要なことは、独仏などのEU中核国が妥協したからといって、キャメロン政権が6月23日に予定している国民投票で勝利するという保証がまったくないということです。イギリス名物のタブロイド紙(スキャンダルや暴露記事を売り物にする大衆新聞(イエロージャーナリズム))の扇情的な記事を待つまでもなく、このところEU離脱派が急伸、勝利が濃厚のようです。

 

イギリスがEUに残留するしないにかかわらず、ドイツやフランスなどEU統合の深化を目指す国は、これを望まない国の横槍を気にせず歩を先に進めることになります。実際、ドイツやフランスの高官は、近いうちに統合の深化を目指す提案を発表すると言っています。もちろん、これまでのようなEUの全加盟国を対象とする計画ではありません。あくまでもEU統合の理念の実現に賛同する国を対象としたものであり、もはや統合を望まないなら、「それもまたよし」という料簡です。

 

そうであるならば、アテネ政府の首班ツィプラスが前年の約束した金融支援の条件を順守せず、彼らの期待するもっと「寛容(甘い)」条件を呑まないなら、ユーロ圏の中核国は「どうぞ」と言うほかないでしょう。「柳の下にいつでもドジョウはいない」ということにギリシャの政治家たちもそろそろ気づくべきだと思います。状況は前年とは明らかに違います。

 

要約しましょう――。1958年に6ヶ国でスタートしたヨーロッパの地域共同体は、加盟国が増加する拡大に次ぐ拡大によって、現在28ヶ国が参加するまでに成長しました。その過程で、国と国との結びつきが緊密となり、制度やその背後にある法律やルールもある程度までは共有していますが、いつしかみなが同じ方向を見て、同じ方向に進もうという共同体ではなくなってしまいました。

 

2016年2月、EUが全会一致でイギリスに特別のステイタスを認めたことは、反EU派の人たちの間では「EUの終わりの始まり」であると見られています。反面、これは規模の経済の追求のため加盟国の数のみを恃みとする共同体の限界を正し、政治統合という究極の目標を達成するために、引きつづきともに行動することを約した国ぐにの政治的意思の表示であったといえるかもしれません。そうであるとすれば、EUは統合深化のための態勢を再整備したのだ、という見方のほうがより適切のように考えられます。

 

(2016年掲載)

あわせて読みたい

  • 「ギリシャ新政権の100日 —ユーロ圏債務処理のエンドゲーム—」中川辰洋著(日本証券経済研究所『証券経済研究』第90巻:2015)
  • ヨーロッパ連合本部(ブリュッセル)サイト
  • 「ヨーロッパ銀行同盟の現状と展望 —銀行セクターの変革に向けて—」(日本証券経済研究所『証券レビュー』第55巻第7号:2015)
  • 駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジン

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